夢想家と哲学者 – ムーミンアラビアのクラシックコレクションに新しいキャラクターが登場

2024年、ムーミンアラビアのクラシックコレクションに新しく登場するのはスニフとじゃこうねずみ。

２人のキャラクターは人生へのアプローチが正反対。スニフはいつも富と名声を夢見ている夢想家で、じゃこうねずみは人生について思いを巡らせている哲学者です。

スニフはクラシックコレクションでおなじみの顔ですが、じゃこうねずみは今回ムーミンアラビアのテーブルウェアに初登場！

それぞれのデザインのマグ、ボウル、プレートは2024年3月5日より発売予定です。

待望のじゃこうねずみが初登場

厳格な哲学者のじゃこうねずみは、ムーミンアラビアのテーブルウェアに新しく登場するキャラクターです。ムーミンファンは、この口ひげを生やした不思議な生きものを長い間待ち望んでいました。

じゃこうねずみは、1948年に出版されたトーベ・ヤンソンの小説『たのしいムーミン一家』と1946年出版の『ムーミン谷の惑星』のみに登場し、それ以降はコミックにも出てきません。代わりに、ガッツィ・アニメーション制作のテレビアニメシリーズ『ムーミン谷のなかまたち』（2019年～）で、じゃこうねずみが数多く登場して人気が高まりました。

トーベ・ヤンソンの物語に登場するじゃこうねずみは、静かな時間と読書を愛し、人生の疑問に思いを巡らす気難しい老人のようです。じゃこうねずみは何事にも動じず、人生の不条理や無意味さを認める実存主義的な考えの持ち主です。

「あくせくとそこらを走りまわって、ぺちゃくちゃおしゃべりしたり、家をたてて食事の用意をしたり、家具や財産をかき集めることは、なんとむだなことでしょう。」

じゃこうねずみの人生に対する考え方は、小説『たのしいムーミン一家』のセリフによく表れています。

ムーミンハウスの庭にあるハンモックはじゃこうねずみのお気に入りです。ある日ハンモックから落ちて威厳を失ったじゃこうねずみは、ムーミンハウスの落ち着きのなさに嫌気がさし、誰にも邪魔されない海辺の洞窟に引きこもることになります。

じゃこうねずみの哲学は、膝の上に置かれた愛読書のタイトル「すべてが無駄であることについて」が物語っています。

今回発表されるテーブルウェアにはじゃこうねずみのこれらのストーリーが描かれています。

新たなストーリーを持つスニフのテーブルウェア

クラシックコレクションでおなじみのスニフの登場は、今年のテーブルウェアが第三弾です。

じゃこうねずみとは対照的に、スニフは人生に限りない情熱を持って取り組むキャラクターです。スニフはムーミンの親友であり、弟のような存在で、ムーミンのすること全てに参加したがる一方、危険なことにはあまり興味を示しません。

じゃこうねずみがほとんど全てのものが無駄だと考えているのに対し、スニフは価値のあるものや、光り輝く全てのものを欲しがる大の夢想家です。彼はいつも、お金持ちになるための様々な方法を考え出そうとしています。

トーベ・ヤンソンが初めて手掛けたコミック『ひとりぼっちのムーミン』（1954-55年）では、ムーミンの家に親戚や友達が大勢やってきて、同じ屋根の下に住んでいられなくなったムーミンに対し、スニフは、親友のムーミンが一攫千金を得て自分の家を建てられるように手助けをします。スニフは若さの秘薬を発明してムーミン谷で売り始めるのですが、驚いたことに、その薬を飲むと、誰でも自分の正反対の姿に変身してしまうのです。小柄な人は大きくなり、年老いた女性は年老いた紳士になってしまいます。

今回発売となる新しいテーブルウェアでは、スニフが新幹線に変身してしまう亀に秘薬を与えるシーンが描かれています。裏面には、富と名声を夢見ながら夕暮れのビーチに立つスニフの姿もみられます。スニフの隣には、スニフとムーミンの後をどこへでもついてくる小さなお助けキャラクター、ソフスがいます。

トーベ・スロッテによるクラシックコレクション最後の挿絵

今回スニフとじゃこうねずみのイラストを手がけたのは、ムーミンアラビアで長年キャリアを積んで2022年に引退したトーベ・スロッテによるものです。トーベ・スロッテは、30年にわたってトーベ・ヤンソンの原画をムーミンアラビアマグにデザインしてきたイラストレーターで、これまで100点以上のムーミンアラビアマグを生み出しています。

スニフとじゃこうねずみは、トーベ・スロッテがデザインした最後のクラシックコレクションになりますが、ムーミンファンは、これから発売される多くのムーミンアラビア商品で引き続き彼女の作品を楽しむことができます。